短期間でガッツリ稼げるのが魅力の期間工ですが、実は期間工として1年以上働くと、期間工から正社員になる事が可能です。
最近は自動車業界も好景気が続き、また少子高齢化によって人手不足の影響が出てきているせいか、各社ともに年100人~300人ペースで正社員登用を行っています。
期間工の場合、最大でも一度の契約で2年11ヶ月までしか働けませんが、正社員になると無期雇用になるので、5年、10年~定年までずっと働けます。
入社祝い金や満了慰労金といった手当はありませんが、夏冬のボーナスが出るので年収は期間工時代と変わりません。
しかし、毎年の昇給がありますから長く勤めるほど基本給が上がりますし、出世して管理職などになると管理職手当などがつきます。
最終的に年収1000万を超える給料が保証されて、おまけに退職金も貰えます。
そして何より、正社員は不況になってもクビにされないのが大きいですね。
期間工は、正社員に比べて気楽な分、不況の時に真っ先にリストラされてしまいますからね。
長期的に安定して稼ぎたいなら、正社員になるのが一番です。
しかし、期間工から正社員登用される条件はどのような物なのでしょうか?
正社員になりやすいメーカーは? 年齢制限はあるの?
そこで今回は、期間工から正社員になる条件・正社員登用に積極的なメーカーを紹介します。
目次
期間工から正社員になるまでの流れ
まずは期間工から正社員になるための流れについて紹介します。
期間工として1年以上働くと、正社員登用試験を受けられるようになります。
メーカーによって正社員登用試験の回数は異なりますが、おおむね年に2回ほど開催されています。
ここで重要なのが『上司の推薦』が無いと正社員登用試験は受けられないという点です。
必ず上司にあたる社員に、正社員を目指していることを伝えておきましょう。
もちろん勤務態度が悪かったり、上司に嫌われていれば推薦は貰えません。
無遅刻・無欠勤、なおかつ社員との仲が良好である事が望ましいです。
寝坊による遅刻は他にもペナルティがあります。詳細はこちら。
・期間工が遅刻した時のペナルティと対策まとめ!寝坊しやすい人は要注意
推薦して貰えると試験を受けられるのですが、試験は筆記試験と面接になります。
筆記試験はSPIと呼ばれる、就職試験で使われる一般常識+計算テストになります。
ぶっちゃけ中学生レベルの計算ですが、問題数が多く対策をしないと点数が取れないので、必ず2ヶ月ほど前から対策しておきましょう。
面接では、下記のような質問を受けます。
・自己PR
・志望動機
・日頃どのように心がけて安全作業をしているか
・部下に作業を教えるとして、何に気をつけるべきか
・チームワークを良くするためにはどうしたらいいか
・今まで頑張ってきた事を3分で語って下さい
基本的に、仕事への取り組みや勤務態度を試す質問が多いです。
通常の就職試験と同じような対策をしておけば問題ありません。
一番力を入れるべきは志望動機で「なぜ他社でなく、このメーカーを就職先に選んだのか?」という点をしっかり語りましょう。
他社の自動車との差別化になっているポイントや、そのメーカーならではの魅力。会社に対する魅力(社員全員が前向きで雰囲気が良い、など)を言うべきです。
単に慣れてるから、給料がいいから、楽だから・・といった一言だけの志望動機だと失格になります。
好きな映画を語るように、熱く語ると面接官の受けがいいです。
なんだかんだ、自動車メーカーは古い体質ですから「この会社が大好き!」「働かせて下さい!一所懸命やります」という心意気が伝われば通ります。
面接の前日にテキトーに考えた志望動機だと一発でバレるので、必ず力を入れてスピーチを考えて下さい。
面接に合格すると、はれて正社員になれます。
正社員になれる確率はどれくらい?
期間工から正社員登用される確率ですが、概ね合格率15%~20%くらいです。
ただ、現在は好景気&人手不足なので合格率は上がっています。
リーマンショック以降の不況時は、合格率が1%前後。その後も5%~10%を推移してからの、現在の合格率です。
不況時は恐ろしい難関だったのに対して、今は相当入りやすくなっています。
ただ、対策無しですと難しいですから、必ず試験対策をして挑みましょう。
正社員登用試験に一発で合格するのは難しい
合格率が20%近くあるとは言え、一発で正社員登用試験に合格するのは至難の業です。
というのも、メーカーによっては「やる気を見るため、一回目は合格水準でも落とす」という裏ルールを設定している所もあるからです。
あくまで噂なので、全てのメーカーが一発合格出来ない…という訳ではありませんが、挫折を経験させるという意味合いで、やっているという話を聞きます。
正社員登用試験を受ける人は、やはり無遅刻・無欠勤は当たり前。
キツい工程に組み込まれても、文句1つ言わず、正社員に教えるレベルの腕前の人だけが合格します。
しかし、そこまで出来る期間工であっても、一回目の試験で落ちて、意気消沈して辞めてしまう人は少なからずいます。
諦めずに二回目、三回目の試験を受けて、ようやく合格…晴れて正社員というのですから、厳しい道だと言うことは理解しておきましょう。
適当に受けて合格できるほど甘い試験ではありません。
やはり大企業の正社員という『王座の椅子』を得るためには「トップ期間工になってやる」ぐらいのやる気がないとダメですね。
実際に期間工から正社員になった人のスペック
私の周りで、実際にトヨタ自動車の正社員登用試験に合格した方がいました。
彼は32歳で、期間工の中でもキツい工程である組立お下回りに配属されていました。
安全靴とヘルメット装備でボルトをガンガン締め付け…という鬼工程。
期間工の離職率トップクラスのキツい工程ですが、彼は文句1つ言わずこなしていました。
普通は、そういう鬼工程は正社員がやるんですけどね。期間工だと、すぐ飛ぶから…。
正社員がやるべき工程に組み込まれているという事は、相当、信頼されているという証拠です。
終業後も部品の補充をサービス残業でやり、上司からの信頼も熱い、まさに最強の期間工といったスペックでした。
そんな彼でも、正社員登用試験は一度目は不合格でした。
彼を知る人は「なんで?」とめちゃくちゃ焦っていましたねー。
上司からこっそり聞いた話では、やはり裏ルールに引っかかった…との事。
ただ、二度目の試験で合格していたので、やはり正社員になるべき人はいつか成れるのです。
私もホッとしました。
ただ、上司いわく「彼レベルの人材でも、リーマンショックの時は全く受からなかった。景気がよくて良かったな」とのこと。
不況、怖すぎる…!
自動車業界は景気に左右されやすいので、運が悪いと不況と重なって、正社員になれない事もあるようです。
正社員登用の年齢制限は? 30代以上でも入れる?
正社員登用の年齢制限ですが、当然、20代が一番有利です。
しかし、メーカーによっては30代~40代でも正社員登用されるケースがあり、年齢で諦める必要はありません。
実際、35歳~40歳で正社員登用されたケースもあり、年齢よりも真面目さ・人柄の良さを重視しているメーカーも多いです。
ホンダなど年齢制限をかけているメーカーは難しいですが、それ以外のメーカーでは実際に30代以上でも正社員になれたケースがあるので、諦めずにチャレンジしましょう。
学歴は関係ある?
ありません。中卒でも正社員登用に合格出来ます。
期間工の求人自体『学歴・職歴不問』で募集しているため、正社員登用の際に「高卒以上でないとダメです」なんて言ってしまえば、問題になります。
ただし、正社員登用試験は筆記試験(SPI)も含むため、勉強が全くダメという人は厳しいかもしれません。
(一説によると、筆記試験よりも『人間関係、コネ、現場での仕事ぶり』が重視されるため筆記がダメダメでも通るらしいです)
また、正社員になった後の給与テーブル。出世・昇進スピードは関係します。
各社、最終学歴によって給与テーブルが違ったり、出世までの速度も違うので、入社後に少し差が出ます。
ただ、基本的には本社組という訳でもありませんので、僅差です。
期間工から正社員になりやすい期間工ベスト5
期間工から正社員になりやすいメーカーを紹介します。
1位:トヨタ自動車
1位はトヨタです。
トヨタ自動車は世界1位の自動車メーカーですから、当然、採用規模も最大級で、年300人以上を正社員に登用しています。
トヨタ自動車の正社員登用試験に受かると、まずは準社員という扱いになり、それから1年ほどで正社員になれます。
2016年度は500人の正社員登用枠を出すなど、人手不足に備えて積極的に正社員登用を行っています。
この数は他社メーカーの2倍以上の数になります。
日本一の大企業だけあって、採用数も半端じゃないですね。
しかし、トヨタ自動車の正社員になるハードルは結構高いです。
まずQCサークルと呼ばれる『品質改善活動』に参加して、積極的に提案を行わなければいけません。
トヨタは『カイゼン』と呼ばれる改善活動を推進しており、正社員登用を目指すなら常に改善のアイデアを出さなければいけません。
QC活動がダルいから、ただ座って黙ってるだけ…といった態度だと落ちます。
実際、正社員登用試験ではQC活動のアピールを求められます。
また社内行事や飲み会にも積極的に参加する必要があります。
トヨタは村と呼ばれているように、かなりの村社会で、全体行事や飲み会に積極的に参加して中に入らないと、優遇してもらえません。
こういった閉鎖的な、良くも悪くも日本的な雰囲気がダメな人は厳しいでしょう。
皆勤賞・遅刻なしは当然です。
DL(チーフリーダー)に顔を覚えられていると、合格率が上がります。
『正社員採用は積極的に行っているけど、甘くはない』というのがトヨタ自動車の特徴ですね。
ただ、正社員になれれば、世界1位の自動車メーカーの正社員なので安泰です。
福利厚生・退職金など凄まじく充実しており、社員になると、その恩恵をフルに受けられますよ。
トヨタ期間工の詳しい待遇や口コミを知りたい方は、下記の記事をどうぞ。
・トヨタ期間工の給料や待遇まとめ!王者トヨタは働きやすいのか?
公式の求人ページはこちら
2位:アイシンAW
2位はトヨタ系列の部品メーカー、アイシンAWです。
アイシンAWは「楽な期間工ランキング」「女性におすすめのメーカー」の記事で1位に輝く、オススメ期間工です。
・女性におすすめの期間工まとめ。力仕事が無くて女性比率の多いメーカーを紹介
部品メーカーとして世界シェアトップなので、いま売上は絶好調。
毎年400人~500人の正社員登用を行うなど、その勢いは凄まじいものがあります。
さらに、40代~50代でも正社員登用可で、年齢不問なのが大きなメリットです。
多くの車体メーカーが正社員登用に年齢制限をかける中、アイシンAWは中年でも正社員が狙えるのが嬉しいですね。
期間工としての待遇も、時給1400円以上と部品メーカーにしては破格ですし、愛知県への赴任が大丈夫ならアイシンAWはおすすめのメーカーですよ。
アイシンAWの待遇まとめ記事はこちら。
・アイシンAW期間工の給料や待遇まとめ!女性におすすめの部品メーカーです
求人ページはこちらになります。
3位:マツダ
正社員登用に積極的で、30代でも正社員になれるマツダが2位です。
マツダは広島駅の近くに工場があり、地方都市で働きたい方に人気ですね。
中堅の自動車メーカーですが、正社員になれば家を建てて家族を養うくらい余裕で出来る待遇が待っています。
年収で言うと500万~600万前後ですね。
ただし、退職金は30代で正社員になった場合、1000万程度です。トヨタ自動車に比べると、やや退職金は弱いですね。
マツダの正社員登用試験は、2年11ヶ月の間に4回あるので、4回まで正社員になるチャンスがあります。
合格率は20%前後ですので、真面目にコツコツ頑張っていれば正社員になれます。
マツダはトヨタ自動車や日産、ホンダといった大手に比べると知名度が低いため、正社員が集まりにくく、積極的に正社員登用を行っています。
トヨタは人数が多いため、その分、競争も激しいですが、中堅メーカーのマツダは20代であれば正社員になれるチャンスはかなり多いですよ。
マツダ期間工の求人はこちら
マツダ期間工の詳細はこちら↓
・マツダ期間工(広島)の寮の住み心地ってどう?感想や通勤時間まとめ
4位:スバル
スバルはこれまで800人以上を期間工から正社員登用しており、年間100人単位で正社員登用を行っています。
北米での売上が伸びており、工場の稼働率も高く、今後も正社員をどんどん増やしていく方針のようです。
スバルは期間工としての待遇のバランスも良く、働きやすいメーカーなのでオススメです。
スバル期間工の詳細はこちら
・スバル期間工の給料や待遇まとめ!寮の住み心地や働きやすさはどう?
スバル期間工の体験談はこちら。
・期間工で半年働いたらいくら貯金できる?元スバル期間工が教える
・28歳中卒職歴なしの俺がスバル自動車の正社員になれた話。期間工から成り上がった体験談
5位:ホンダ
ホンダは、かつて正社員登用をあまり積極的に行っておらず
「ホンダは期間工から正社員になれない」
という噂すら飛び交っていました。
しかし、2017年から一転して年間150人の正社員登用を開始しました。
恐らくNボックスなど軽自動車の売れ行き好調に加えて、人手不足の影響が大きいのだと思われます。
高卒で働く18歳の人口は、今や10年前の半分近いですからね…。
ホンダも未曾有の人手不足に備えて、期間工を正社員にして囲い込もうという意気込みが感じられます。
ただし、ホンダに関しては正社員登用に年齢制限があります。
ホンダの正社員登用の条件はこちら。
年齢が28歳以下
身上調書(課題レポート含む)・Honda履歴書
書類選考→適性検査・個別面談→内定通知(1ヶ月後)
28歳以下という制限あるので、現在28歳の方~29歳以上の方はホンダは避けたほうが良いでしょう。
ホンダはトヨタに次ぐ大手自動車メーカーで、正社員の待遇はかなり良いです。
国内は軽自動車の販売が好調で、海外ではインドに力を入れておりシェアも広げつつあります。
今後、正社員登用も引き続き積極的に行う雰囲気がありますから、ホンダ期間工から正社員登用を狙うのがオススメです。
またホンダの期間工は、期間工の中でも「働きやすい、楽ちん」という評価が多く、まったり派の方におすすめですよ。
待遇や寮の住み心地、口コミをまとめた記事はこちら。
・ホンダ期間工の給料や待遇まとめ!寮の住み心地や働きやすさはどう?
公式の求人ページはこちら
正社員になると給料が下がる…というのは嘘
期間工から正社員になると給料が下がる、と言われていますが、それは嘘です。
確かに一時的に手取りは落ちますが、正社員はボーナスと昇給があるので、2年~3年で給料は逆転出来ます。
特に最近は働き方改革によって、大企業への賃上げ圧力も強く、各自動車メーカーも昇給率を上げています。
昇給すると、基本給が上がって、連動してボーナス額も上がるので年収は毎年上がっていきます。
すると、期間工の5年後、10年後には期間工の給料を追い抜いて、残業代ナシで年収500万~600万になります。
「正社員は稼げない!」という人の多くは、毎年、昇給をすることでボーナスも上がる事を知りません。
正社員の方が稼げないというのはデマ、あるいは一時的なものなので、騙されないで下さいね。
正社員にしかない福利厚生もありますから、期間工は短期では効率よく稼げますが、長期で見ると正社員のほうが稼げます。
仮に不況になってもクビになりませんし、ボーナスもしっかり出て、病気・怪我になっても休職制度があるから安心。
住宅ローンも組めますから家だって買えます。
私は正社員の方が恵まれていると思いますよ。
期間工から正社員になるデメリットについて
しかし、正社員にもデメリットはあります。
まず期間工に比べてプレッシャー・責任が重いという点です。
正社員になると、お気楽な期間工と違って、期間工を管理・指導する立場になります。
ミスをして気まずくなったら辞めればいい、なんて無責任な対応は出来なくなります。トラブルを起こせば、上司にどやされますし、社内での立場も悪くなります。
また、長期で休むことも難しくなります。
期間工なら「お金を一気に貯めて、半年くらいニートで日本一周する」なんて破天荒な大冒険を送ることが出来ますが、正社員になると、長期の休みはせいぜいGWや年末年始の10日間。
1ヶ月以上連続で休むのは難しいです。
「旅をしたい」
「世界をめぐりたい」
「3ヶ月くらいニートしたい」
といった希望がある方は、正社員になることで、逆に人生を縛られて幸福度が下がるでしょう。
正社員と期間工の比較について、より詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。
・期間工から正社員になるメリット・デメリット。いい事ばかりじゃないので要検討です
地に足をつけて働くなら正社員一択です
上記のような希望がなく、地に足をつけてしっかり働きたい!安定した職がほしい!という方は、正社員が一番です。
学歴・職歴が弱くても期間工からの正社員登用であれば、日本の一流自動車メーカーの社員になれるのですから、期間工は夢がありますよ。
日本の企業は、労働時間が多い等々いろいろ言われていますが、やはり大企業のパワーは凄いです。
終身雇用制は色濃く残っており、ポンコツでも病気になっても、正社員なら守ってくれます。
結婚して子育てしたい。
もう職を転々とするのが嫌だ。
といった人は、ぜひ正社員登用を狙いましょう。
手に職を得たい人は、溶接の資格を取って、小松製作所で実務を積んで工場の正社員を目指す…という道もおすすめですよ。
溶接の資格について。
・溶接の資格の取得方法まとめ。未経験から手に職をつけるなら溶接はオススメです
大阪にある小松製作所は、溶接部門があり溶接工の実務経験を積めます。
【大阪】小松製作所の期間工は手に職つけたい人におすすめ!待遇と評判まとめ
期間工から別の業種の正社員に転職する方法はこちら。